EduHubのサイトでデジタル教科書を活用した授業レポートを書き始めて半年が経ちました。その間、いろいろな学校で研究授業や校内研修の講師をさせていただいていますが、テーマとして多く出るのは「これからの一人1台端末の活用について」や「NEXT GIGAでの学び」などで、GIGAスクール構想で配備された一人1台の情報端末(以下「GIGA端末」と表記します)をしっかり活用していこうとしている先生方の思いを感じます。
2024年8月に開催された「教育と学びの未来を創造するプラットフォーム in 戸田 第10回記念大会」では、「セカンドGIGAでの学び」というテーマの分科会のゲストスピーカーとして登壇させていただきました。そこで多くの参加者の先生方に問いかけたのは、「GIGA端末を使ってはいるけれど、あまり有効でない使い方で止まっていませんか?それは本当に子どもたちの学びを変えていますか?」ということでした。
僕は、GIGA端末を使って子どもたちの学びを変えることを目指したいと思って、学校のサポートをしています。どのように子どもたちの学びを変えたいのか。それは、子どもたちが「デジタル“で”学べるようになる」ことです。
社会のデジタル化が進んできて、中学生くらいからは自分のスマートフォンを持つ子どもたちも多いと思います。「子どもたちはスマホやゲームに慣れてるし、すぐにデジタルツールを使えるようになるでしょう?」と言う大人も多いのですが、「デジタルツールを使えるようになる」と「デジタルで学べるようになる」は全然違うと思っています。
目指すべきは、「デジタル“で”学べるようになる」ことであり、それはやはり学校で学ぶべきことだと思っています。家でいくら自分のスマホを使う時間が増えても、スマホでわからないことをじっくり調べたり、誰かに何かを伝えるための文章を書いて何度も推敲したり、お小遣い帳のようなお金の出入りをスプレッドシートにまとめたり、そうした学びをする子どもはほとんどいないと思います。
学校という場で、先生とクラスメイトと一緒に勉強するからこそ、そうした学び方を身につけられるという子がほとんどだと思います。これが「デジタル”で”学べるようになる」ことに繋がっていくと思います。
上で例に挙げた「わからないことをじっくり調べる」という活動に関しては、最初に子どもたちが手にする教材は紙の教科書だと思います。子どもたちにとって、教室で勉強するときに使うものとして机の中に入っている紙の教科書はいちばん身近ですし、大きな役割を担っています。
では、紙の教科書のままでもいいではないか、と思うかも知れませんが、これからのデジタル社会に生きる子どもたちに、「デジタル“で”学べる」ようになってもらうために、その入口として子どもたちにとって身近な教科書を使った学びもデジタル化していきたいと思うのです。
「書いてあることは、紙の教科書と同じでしょう?」と思われる先生方は、ぜひ指導者用デジタル教科書でも、学習者用デジタル教科書でも、開いてみてそこにあるさまざまなデジタルコンテンツを開くボタンを押してみてほしいと思います。解説がアニメーションになっていたり、本文を読み上げてくれたり、ページ上にある情報量を少なくして読み取りやすくできたり、さまざまな機能が使えることに気づいてもらえると思います。
こうした機能は、紙の教科書を使った勉強ではちょっとよくわからなかった子どもたちには、新たな学びの選択肢になります。そうした子どもたちを教えている先生方にこそ、デジタル教科書を活用してほしいと思います。
このEduHubのサイトで取材に行った授業では、先生方は「デジタル教科書だけ」に閉じた活用の仕方を先生方はしていませんでした。デジタル教科書と紙の教材やノートを組み合わせて使っていました。今までの授業を全部デジタル教科書に切り替える必要もないと思います。一部だけでも、デジタル教科書の機能が子どもたちの学びを後押ししてくれる箇所で使えばいいと思います。
授業支援ツールやさまざまなアプリなどに比べると、デジタル教科書の活用は、これまでの授業の「紙の教科書を使っていた部分をデジタル教科書に置き替える形で、大きな変化でなく、なめらかな変化でスタートできるのが利点だと思います。
教科書はデジタルがいい、紙(アナログ)でもいい、というのではなく、デジタル教科書の良いところを探してみるところから始めてもいいのではないでしょうか。
最初から子どもたちに、学習者用デジタル教科書を一人ひとりのGIGA端末で使ってもらわなくてもいいと思います。指導者用デジタル教科書からでもいいので、先生が使ってみて、どんな場面で使えそうなコンテンツがあるのか、どういうところが紙の教科書と違うのか、ということを考えるところから始めてみるといいと思います。
子どもたちが「デジタル“で”学べる」ようになるための第一歩として、デジタル教科書を使い始めてみませんか?
フューチャーインスティテュート株式会社 / 教育ICTリサーチ 為田裕行


