2024年9月11日に柏市立大津ケ丘第一小学校を訪問し、太田紗彩 先生が担当する5年2組の算数の授業で東京書籍の学習者用デジタル教科書『新編 新しい算数 5』を活用している様子を参観させていただきました。
授業の最初に、前時までに子どもたちが学習者用デジタル教科書『新編 新しい算数 5』を使って三角形と四角形の角の大きさの和の求め方を解説した図をホワイトボードに映して復習をしました。

復習を終えて太田先生が「三角形、四角形と来たら…?」と言うと、子どもたちからは「五角形!」と声があがります。太田先生は「そうです! 今日は五角形と六角形について考えてみましょう。」と言って、五角形と六角形が書かれたプリントを配布します。
太田先生は、プリントの内容をホワイトボードに映して、どう考えたらいいのかをみんなで話し合います。復習した三角形と四角形の角の大きさの和の導き出し方を、五角形と六角形の角の大きさの和を求めるときにも使えるかどうかをみんなで見ていきます。

太田先生は「五角形と六角形の角の大きさの和を求める」という学習目標に続いて、この日の授業のルーブリックをホワイトボードに映して説明します。ルーブリックは以下の3段階で設定されていました。
・S
多角形の角の大きさの和の求め方を考え、3人以上に考え方を説明することができる。
・A
多角形の角の大きさの和の求め方を考え、考え方を説明することができる。
・B
多角形の内角の和の求め方を考えることができる。
太田先生は、「考え方を説明するところまでがんばって、Aまでいきましょう。」と子どもたちに伝えます。

子どもたちは自分のChromebookで、学習者用デジタル教科書『新編 新しい算数 5』の「多角形の、角の大きさの和の求め方を考えよう」という問いにリンクされているシミュレーション教材を開きます。
シミュレーション教材には五角形が表示されていて、その下に「線をひく」と「点をうつ」の2つのボタンがあります。「線をひく」のボタンを押すと、五角形の5つの頂点に色がついて、頂点と頂点をドラッグして結ぶとそこに対角線がひかれます。「点をうつ」のボタンを押すと、五角形の中の好きな場所に点Sをうつことができます。点Sにも線をひくことができます。「はじめにもどる」ボタンを押せば、自分でひいた線やうった点を全部消すことができます。
また、左上のメニューボタンを押すと、ペンツールや消しゴムツールが出てきます。これらのツールを使って、対角線をひいてできた三角形の角を色分けしたりすることができます。
シミュレーション教材を使って、五角形と六角形の角の大きさの和の求め方を説明するための図を作っていきます。線をひいたり点をうったり、全部を消したりが簡単にできるので、子どもたちは何度も試行錯誤して角の大きさの和の求め方を考えることができます。こうして試行錯誤の敷居を低くして、何度も繰り返して考えられるようになるのはデジタル教材の良さのひとつです。

どうやって五角形の角の大きさの和を求めたらいいのかは、最初にみんなで確認をします。太田先生が「五角形の角の大きさの和は、どうやったら求められそうですか?」と質問すると、子どもたちから「線をひいて!」「対角線!」「三角形を作るの!」「四角形でもいけるよね?」と声があがっていました。
どんなふうに考えたらいいのかをみんなで確認した後は、子どもたちは一人ひとり自分のChromebookのシミュレーション教材を使って、五角形の角の大きさの和の求め方の説明を考えていきます。
子どもたちは、自分たちで線をひいて五角形の中に作った三角形ごとに角を色分けして塗っていきます。そうすることで、五角形の中にいくつ三角形があるのかをわかりやすくしたり、どの角の大きさを足したのかがわかりやすくなります。

一人ひとりが学習者用デジタル教科書『新編 新しい算数 5』を使っているからこそ、デジタルの特性を活かして、それぞれが多様な和の求め方を試していました。中央に点Sを作って説明する子もいるし、点Sを作らずに対角線だけで説明する子もいます。線をひくのも点をうつのも簡単なので、2つ以上の方法を試すこともできるようになります。

学習者用デジタル教科書『新編 新しい算数 5』のシミュレーション教材を使って五角形に線をひいたり点をうったりして、角の大きさの和を説明できるようになったら、シミュレーション教材の画面をスクリーンショットで撮ってCanvaに貼り付けます。
Canvaにはクラス全員で共有したファイルが1つ用意されていて、1人1ページずつ使うようになっています。子どもたちは自分のページにスクリーンショットで撮ったシミュレーション教材の画面を貼り付けます。貼り付けた五角形の横に、どうやって角の大きさの和を求めるのかを説明する文章を書き込んでいきます。
クラスで1つのCanvaを共有しているので、説明をどんなふうに書いたらいいかわからないときには、他のページをクリックするとクラスメイトが作っている作業中の図を見ることもできます。共有したCanvaを使うことで、子どもたちは先生からだけ学ぶのではなくて、自分でできるところまで考えてからクラスメイトが作っている過程を見て学ぶことが可能になっています。

最初にルーブリックが提示されているので、その目標に向かって子どもたちがそれぞれ自分にあった学び方をしているのが印象的でした。一人で考えてもいいし、友達と話し合いながら考えてもいいし、友達に教えてもらってもいいし、先生に質問するのでもいいし、いろいろな学び方が1つの授業のなかでできるようになっていました。

授業時間が半分を過ぎた頃、子どもたちは五角形の角の大きさの和の求め方についての説明を書き終わっていました。太田先生は「Canvaで他の人の書いた説明を読んで、自分の考え方に似ている人を探して、その人のところへ行ってどこが似ているのかを共有してください。」と言います。子どもたちは、Chromebookを持って教室の中を移動して、自分と考え方が似ている人のところへ行って、Canvaの画面を見せながらどう考えたのかを説明していきます。

少し時間が経った後で、「今度は、自分と全然考え方が違う人を探して共有してください。」と太田先生が子どもたちに言います。子どもたちはCanvaを見て、自分とは考え方が違う人のところへ行って考え方を説明し合います。教室のあちこちから、「たしかに全然違う。」「そういう考え方かー。」という声が聞こえてきました。
今回は一斉授業で先生が考え方を子どもたちに伝える授業ではなく、学習者用デジタル教科書『新編 新しい算数 5』とCanvaを使って子どもたち一人ひとりが五角形の角の大きさの和の求め方を考える時間が確保されていた授業だったので、いろいろな考え方が出てきました。だからこそ、自分と全然考え方が違う人と考え方を共有する時間を作ることが重要だと感じました。

考え方が違う人との共有が終わったら、みんなに席に戻ってもらいます。太田先生はホワイトボードに2つの考え方を並べて表示して、子どもたちに「この2つ、違うやり方だけど、考え方はどうかな? 同じかな? 違うかな?」と質問します。すると、子どもたちは、「同じ! 三角形を2つ作ってるから!」と答えます。やり方は違うけれど、考え方は同じである、ということを授業のまとめのところでクラス全体で共有するのは大切だと思います。
こうして子どもたちの書いた説明の図をそのまま提示して説明に使えるのも、デジタルを使っての授業の良さだと思います。

最後に、クラスでいちばん複雑な考え方をした子が書いた図をホワイトボードに映して、自分で説明してもらいました。説明の図をホワイトボードに映したら、「おー」「すごい!」と教室から声があがりました。授業において、このように子どもたちの書いた説明の図をそのまま提示して説明に使えるのも、デジタルならではの良さだと思います。

最後にふりかえりをします。ふりかえりは、単元ごとにスプレッドシートを用意してあってクラスで共有してあります。日付ごとにシートが作られているので、この日の日付のシートにルーブリックを見ながらふりかえりを書いていきます。
太田先生は、ふりかえりのスプレッドシートをホワイトボードに映しながら、子どもたちが書いたふりかえりのなかで大事なところを色を変えて目立つようにして、クラス全体でふりかえりを読むときの助けにしていました。

子どもたち一人ひとりが学習者用デジタル教科書『新編 新しい算数 5』を使って、多角形の角の大きさの和の求め方をシミュレーション教材を使って試行錯誤しながら説明できるようになっていたと思います。また、それだけでなく、考え方が似ている人や違う人と考え方を共有する機会があって、学習者用デジタル教科書『新編 新しい算数 5』を使って一人で考える時間と、考えたことをクラスメイトと共有する時間とが両方ある授業づくりが、子どもたちの学びを深めている授業だと思いました。
機能紹介:「多角形の、角の大きさの和の求め方を考えよう」
シミュレーション
五角形と六角形の角の大きさの和を求め方を考えるために、線をひいたり点をうったりして考えることができます。また、ペンツールで角を塗ったりすることもできます。これらの機能を使って、何度も試行錯誤して角の大きさの和の求め方を考えることができます。
フューチャーインスティテュート株式会社 / 教育ICTリサーチ 為田裕行



